『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』公開記念 朴璐美さんスペシャルインタビュー



7月2日の公開が迫る『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』。本作の公開を記念して、エンタジャムでは、本作の主人公・エドワード・エルリックを演じる朴璐美さんに、映画の見所や、エドというキャラクターに込めた想いについて語っていただきました。

—2003年のTVシリーズから本作まで、朴さんはこの「鋼の錬金術師」という作品を振り返っていかがですか。
朴さん「「鋼の錬金術師」は長く続いていますけど、各作品の区切り区切りで、(今回で)「終わり」、「終わり」、と毎回言われていて。でも、こうやってまた演じることになる。本当に一筋縄ではいかない作品なんだなと思いますし、それが「鋼の錬金術師」なんだなと思っています。」
–2つのTVシリーズがあり、劇場映画は本作で2作目となりますが、各作品で、どのような演技を心がけてきたのでしょうか。
朴さん「最初の「鋼」のTVシリーズは無我夢中で、とにかく突っ走るしかないという感じでした。最初の4話くらいまでは、すでに錬金術師になっているところから始まり、その後、錬金術師になるための話という流れになっているんですけど。幼少期の部分で、彼らの犯した“罪”の原点、それをわりと早い段階で、順をおってしっかり一つ一つ心に刻み込みながら演じさせて頂けたので、すごく「鋼の錬金術師」の核の部分、エドワード・エルリックの核、アルフォンス・エルリックの核みたいなものを、この最初のTVシリーズで、きっちりと基本を作らせていただいたような感覚が自分の中にあります。
その時に、スタッフさんやプロデューサーさんが言っていたのが、「とにかく痛みから逃げない」というメッセージを伝えたいということでした。子どもはバカじゃないし、子どもは誤魔化されない。きっちり僕たちは痛みと向きあって、それを伝えていこうという、私はそのメッセージにすごく共感を覚えて、放送を突っ走った感じです。

その後、最初のTVシリーズの後日談の劇場版がありました。そこで(今回で)「鋼の錬金術師」は終わる。絶対に作らないと聞いていたので、私と釘宮理恵さんも、「こうして皆さんの前でエドとして、アルとしてお目にかかることはありません」という感じでマイクを置いたんですが、その数年後に、まさかの「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」。また、最初から(笑) その時ですね、随分悩んだのは。すでに一度、自分が魂を込めて、全身全霊演じたあの記憶を無くして、また最初から演じられるのか。でも、その記憶は、私の中で絶対消える訳がないですし、誇りです。なので、一度は(もう一度演じるのは)無理なんじゃないかと思ったんです。ですけど、エドが、また自分の体を借りたいって言ってるんじゃないかなと思ったんです。なので、私の記憶、それまでに得た記憶を持ったままで「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」に挑んだっていいじゃないかと。エドの魂が私を呼んでいるのならエドを演じることができるのは、多分、私しかいないから話が来ているんだ。だったら、もう一回ガッツリとエドとシンクロさせてもらおうと思って作品に挑みました。それで、弟も元に戻し、全てが終わり(笑) 
(「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の)アフレコ中から、劇場版をやるかもしれないという話は聞いていたんですけど、(その時は)今、目の前にあることに、魂こめて、ハート込めるので一生懸命だったので、劇場映画の話を聞いても、「わぁ嬉しい!!」という感じにはならなくて(笑) 単に「劇場映画ですか」という感じで(笑) 勿論嬉しかったんですけど、台本が来るまで始まらないんですよね。」
—以前のアフレコ現場の取材記事で「台本をなかなか開くことができなかった」と語っていましたが、それは、どのような感覚でそうなったのでしょうか。
朴さん「普通、台本が届くのは収録の一週間くらい前なんですけど、私と釘宮さんは、もう少し早く届いた感じでした。本来であれば、読み込む時間もあったんですけど、あまりにもメラメラっといろいろなものが(台本から)出ていたので(笑) なかなか開きづらくて。読まなきゃと思いつつ、多分、5日間くらいは、鞄の中に入れっぱなしになっていて、擦り切れて読みこんでいる人みたいになっていたんですけど。」
—改めて今までのシリーズを拝見しましたが、エドという強烈なキャラクターを、これだけ長い期間演じてこられてきたことに非常に驚きました。本作ではどのような形で監督とエドのキャラクターを作り上げていったのでしょうか。
朴さん「自分でもそう思います(笑) 今回の劇場版に入るにあたって、すごく嬉しかったのは、監督が、今回の劇場映画の話は、第20話の後、母親の墓を自分で暴くところですね、その後、西に行く話です。ということを、きっちりと説明してくださったことです。お陰で時間軸がすごく分かり易かったです。「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」を演じているうちに、自分の中でこの“鋼”というものが、すごく“普遍的”になってしまっていて、どこの時間軸を持ってこられようと、また、絶対違う世界観をもってこられても、「鋼」は「鋼」。ハートを一緒にするだけ。という境地になっていました。TVシリーズの20話の収録の時は、自分自身もとても辛かったんです。自分の罪の源を“自分の手”で掘り返して。(エドは)自分は母親を錬成したと思っているんです。母親の魂を傷つけてしまっていると思っている。それを見なくてはいけない。エド自身も嘔吐しながら掘っていましたけど、私も前日から(収録が)嫌で嫌で。どれだけ彼を苦しめれば気が済むんだって思っていました。でも、(エドはお墓を)掘り返した結果、自分たちは誰の魂も傷つけていなかったということ。そして、アルの体を取り戻せるという確信をエドが得るという、すごく記憶に残っているシーンだったんです。なので、監督から、このシーンの続きですって言われた時に、すんなりと「あぁ、あのシーンか」と入れました。エドが無我我中で何の情報でもいいから掴み取りたいって思っている時期だなと。すぐに気持を直結することができました。」

—エドというキャラクターを演じる時に一番心がけていることはなんでしょうか。
朴さん「“マックス”ですね。その時の私のマックスを出さないと、彼には到底届かない。スタジオで、ああいう状態のテンションでいる私は、割と珍しいんじゃないかと思います。」
—今までも様々なキャラクターを演じてきていますが、朴さんにとってエドは特別な存在ですか。
朴さん「そうなんですかね(笑)「∀ガンダム」のロラン役から始まり、男の子役人生が(笑) 「デジモン」「シャーマンキング」「ドラゴンドライブ」等を経て、この「鋼の錬金術師」に出会って。今までの役の集合体みたいなものですね。私の男の子人生の。その役、その役、ひとつずつを演じてきたから、エドと本気でぶつかることができた。というのものがあると思います。」
—まだ完成版をご覧になっていないと思いますが、今度の劇場版はどんなトーンの作品になりそうでしょうか。
朴さん「すごいです!最後なんて、どうなっちゃうんだろうって(笑) 台本を1ページ開けた段階で、メラメラって炎から始まっていたりするんですよ。路上でのアクション、列車の上でのアクション、崖の上でのアクション、とにかくアクションづくしです(笑) 本当に楽しみで仕方ないです。この間、ボンズ(アニメ制作会社)さんの制作現場に初めて行ったんですが、本当に皆さんが手で一つ一つ描いていて。(頭の中では)分かっていたことなんですけど、思わず感涙してしまって(笑)
いろんな方たちがこうやって一枚一枚描き上げて、その画を一秒二秒動かすのに何日もかかるという、途方もない作業をやっている。これで人の想いが(映画に)乗らない訳がない!(笑) 機械じゃない。手でやっている。すごい嬉しかったんです。デジタルの力を使っていろんなことができるようになったとはいえ、やっぱり一番最初は人の想像力と、人の手が作り出すものなんだなということを、改めて実感させてもらいました。
声というのもデジタルじゃない、人の声じゃないですか。アナログなんだなって、すごく思ったんです。今回は、ものすごいコマ割りなんですよ。リハーサルの段階でビデオを見るのに、こんなに時間がかかったことは、いまだかつてなかったです! 少し吐きそうになりましたから(笑) でも、台本が届いた時、何故開けなかったのか。何故、リハーサル時のビデオを見て吐きそうになったのか、今はその理由が全部分かるような気がします。それだけ人の想いがひとつひとつ詰まったものを受け止めるって、すごいパワーが自分にないといけない。だからなんだって。すごい疲れるところに自ら飛び込むって、すごい“しんどい”なって思いますけど、でも、一旦そこに飛び込んでしまうと、そこに自分が今まで見たこともない風景がみつかったり。また、それが喜びになって、この仕事が止められないってなっていくんですけど(笑)」
—今回は脚本に真保裕一さんが参加されていますが、ストーリーや構成に関してはいかがですか。
朴さん「真保さんならではの謎解きやドンデン返しがあります。とても「鋼」の世界観に近いんです。真保さんの世界もありつつ「鋼」の世界も壊さないというのが凄いなと。今まで、「鋼」のTVシリーズを何本かお書きになったんじゃないですか?というくらい、エドとアルの気持ちをきっちり理解されていてビックリしました。
今までの「鋼の錬金術師」のファンの方々の期待は絶対裏切らないと思いますし、初めて「鋼」に触れる方は、この作品を観たことによって、全TVシリーズを観たくなると思います。この『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』という作品を観れば、「鋼」の醍醐味や物語の素晴らしさというのが味わえるんじゃないかなと思います。」
—今回の劇場映画は「鋼」の入門編としては最適な作品ですか?
朴さん「最適ですね!本当に凄い動きです!私は、最後のシーンとかは鳥肌が立ちまくっちゃうんだとろうなと思います。線画がでさえものすごいことになっていたので(笑) 」
—最後にファンの方、そして初めて「鋼」の作品に触れる方にメッセージをお願いします。
朴さん「全てのエンターテイメントが、この作品に盛り込まれているので、絶対に楽しめると思います!先程も言いましたけど、デジタルの力は借りていますけど、デジタルに使われているのではなくて、“使って”います。人間の持つ温かさみたいなもの、手作り感みたいなものが、この作品の本当に細かいところに出ているんじゃないかなという気がするんです。是非、大きなスクリーンで、大きな音で、音響さんたちも本当に素晴らしい方たちなので。すごいですよ!音の入り方も絶妙で入ってきますし。それを大音量で聞いていただきたいです。そして、自分の気持を大きなスクリーンにぶつけて、五感という五感を開きまくって、この作品を堪能し尽して欲しいです。是非、楽しんでください!」
—ありがとうございました。
Hair&Make:大津篤子(ビタミンズ)
Stylist:鬼束香奈子
『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』
2011年7月2日全国ロードショー
配給:松竹・アニプレックス
公式サイト:http://www.hagaren-movie.net
(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011



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