映画レビュー 仮想空間に救いを求める若者たちが抱く心の闇を抉り出す『CHATROOM/チャットルーム』



日本で数々のホラー映画を世に送り出し、“Jホラー”を索引し続ける中田秀夫。セルフリメイクとなる『ザ・リング2』でハリウッドデビューを飾った彼が活動の舞台を念願のイギリスに移し、完成させた心理サスペンスが『CHATROOM/チャットルーム』だ。

家族を嫌ってネットに興じるウィリアム(アーロン・ジョンソン)がジム(マシュー・ビアード)、エヴァ(イモージェン・プーツ)、エミリー(ハンナ・マリー)、モー(ダニエル・カルーヤ)の三人とネット上で出会い、彼らはウィリアムのチャットルームにてリアルにかつ頻繁に会うようになる。そんな中、ジムはうつ病を患っていることを打ち明け、それを聞いたウィリアムは彼を巧みな言葉で操って自殺に追い込もうとする。ウィリアムの行動を不審に思った他メンバーはジムを救うべくウィリアムと対峙しようとするが、ジムはウィリアムから拳銃を受け取っていた・・・。

ネットという仮想空間に救いを求める若者たちが抱く心の闇を抉り出した本作。主人公ウィリアムはリストカットによる自傷癖を持ち、他人の自殺行為をネットで観て日々の鬱憤を晴らしている異常者。このようなネット社会である現代の病的部分を捉えたことによってリアルな社会派要素が加味され、ネット社会に生きる観客に社会問題として投げかけていることがわかる。

サスペンスとしての本作の面白さは、終盤以降で最高潮に達するのだ!!衝撃的な展開を迎えるクライマックスに向けてスリリングな描写で魅せつけてくれる。ジムの自殺を食い止めるべくエヴァ、エミリー、モーらは突っ走る模様に手に汗を握り、最後の最後には驚愕させられる。とにかく終盤以降に面白さが集約されているのだ!!

現代に相応しいテーマを扱っているからこそ多くの方にオススメしたい。また、今後のネット上の問題等について考えるには恰好の参考材料にもなるはずだ!!

レビュアー:佐々木 貴之

『CHATROOM/チャットルーム』
3/19(土)より、シネマート新宿、シネマート六本木他、全国順次ロードショー
配給:アルシネテラン
(C) 2010 RUBY FILMS (CHATROOM) LTD, CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, UK FILM COUNCIL & NOTTING HILL FILMS LIMITED

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