【レビュー】現実か?非現実なのか?『帰ってきたヒトラー』

帰ってきたヒトラー

6月17日(金)より全国公開された『帰ってきたヒトラー』既に鑑賞された方はどれだけいらっしゃるだろうか?本作品は同名の小説が原作となっており、ドイツ本国ではベストセラーとなり、2015年の10月の映画公開もにおいても同様に大好評となった。

さてそんな本作品だが、終始ここまでブラックジョークに徹した作品にはヒヤヒヤしながらもお腹を抱えて笑わせていただいた。何より凄いのは本作品には数多くのシーンでヒトラーが一般市民と政治に関する会話をするのだがそれらがほぼアドリブで構成され、今のドイツの現状をまざまざと描き出されているのでこの映画が現実とリンクしているかのような錯覚を覚えるのだ。さらにヨーロッパで大問題となっている難民流入問題にも触れているのでその傾向はますます強くなる。

ストーリーの流れも一見、コメディや過去のヒトラー映画のオマージュが見られて軽い感じで観れるようになっているものの、世界史に詳しかったり、ヒトラーマニアからすればその流れにピンとくることが多いはず。この映画を観る前に、出来ればヒトラーの歴史を勉強していただけると幸いだ。映画『ヒトラー~最期の12日間~』を前知識として観ておくことを強くお勧めします!

タイムトラベル映画としてのパロディに関しても抜かりがなく、ヒトラーが過去から2015年にやってきていることから、もう一人の主人公ザヴァツキの服装が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティによく似た格好になっていることも注目、一部のシーンでは背景にポスターも張られているので余裕があったら探してみると良い。

万人に受けるとは言いがたいが、ほんの少しの前知識だけで十分にこの映画は堪能できるので、是非前準備をしてからしっかりと笑っていただいきたい!

[文:畑史進]

【ストーリー】
ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた〈ホンモノ〉で、70年前と全く変わっていないことを。そして、天才扇動者(ルビ:アジテーター)である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。

『帰ってきたヒトラー』
6月17(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー
(C)2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH
配給:ギャガ 
公式サイト:gaga.ne.jp/hitlerisback

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