映画『鷹の爪8 吉田くんの×(バッテン)ファイル』 FROGMAN監督インタビュー(前編)

フロッグマン

人気クリエイターのFROGMANが監督、脚本、声と3役をこなしながら最初の劇場版公開から10周年を迎えた『秘密結社 鷹の爪』。今年で劇場版シリーズ5作目を迎えた最新作『鷹の爪8 吉田くんの×(バッテン)ファイル』が現在全国拡大公開中。

今回、ジャンクハンター吉田がネタバレ上等モードで、FROGMAN監督を直撃インタビューを敢行!

―― 『月刊コロコロイチバン!』で連載中のコミック版『鷹の爪 吉田くんの×(バッテン)ファイル』がこの度アニメ化されました。今回の劇場版はタイムトラベルを題材にしつつ、呪いのビデオな『リング』シリーズのパロディやら、まんま『Xファイル』のパロディなど、相変わらずFROGMAN節が炸裂してましたよね。意外だったのが吉田くんの家族にスポットを当てていた部分でしたが。

FROGMAN:吉田くんの家族は存在していたんですが、今回みたいに大きくフィーチャーしての映像出演って実は初めてなんですね。吉田くんの母親は……名前あったんですけど忘れちゃいました(苦笑)。父親は『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが演じたトラヴィス・ビックルから頂戴してトラヴィスって名前だったんですけども、というか完成前の台本ではトラヴィスだったんですが、それをひっくり返して今回正式にマクシミリアンに変更しました。さらに父親にはミドルネームみたいなのも用意しているんですけどね。その辺は追々公開していければ。

―― ところで今回の『鷹の爪8』は、いつもと毛色が違って随分と子供向きな感じがしましたが。

FROGMAN:連載中の『月刊コロコロイチバン!』は小学生をターゲットにした雑誌ですし、となると必然的に年齢層は下を目指すしかないんですね。それと僕の息子が怪奇ファイルみたいな不思議系やら謎系やらの本をよく読みあさっているんですよ。やっぱり小学生っていうのはこういうのを熱心に読むんだと実感したのもヒントになってます。

―― 我々がケイブンシャから出ていたあの手の本を読んでいた時代と重なりますね。

FROGMAN:そうそう。僕らの小学生時代って探究心が強かったと思うんですね。そういう部分は下の世代にも当然受け継がれていくんだなぁって思いも強いです。

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―― そういえば『鷹の爪8』は尺が69分とかなり短い感じがしました。何か意図などあったのでしょうか?

FROGMAN:『鷹の爪8』は子供の為の実験作でもあるんです。69分という短い時間の中で如何にメッセージを伝えられるか、そしてコンパクトに表現しようという目標があったんです。いつもの『鷹の爪』とは異なる存在にしようと意図的にもやりましたし、クエンティン・タランティーノ監督の作品を意識して章ごとに物語が進んでいく手法も取り入れてみました。子供がメインターゲットですので、どうしても長い尺ですと途中で飽きられるんですね。章ごとにすればと子供たちの集中力も失われることがないと思いますし、物語の次の展開もおのずと作りやすくなりますしね(笑)。いつものシニカルなギャルも減らしたり、政治色も無くしたり、毎度お約束なバジェットゲージやリラックスタイムなどのシステムを削ったりしたのも全てが意図した狙い通り。まぁ今回は予算が少なかったこともあるんですが、子供たちの冒険心をくすぐりたい思いを込めているのは間違いないです。最初は『インディ・ジョーンズ』シリーズを意識した作りだったんですが、年齢層をもっと下げるとこれは『グーニーズ』にしなきゃいけないなぁとか、ティザーや決定稿のメインビジュアルを見て頂ければ分かりますよ(笑)。69分と短いですが、最近のオトナもスマートフォンの普及から集中力が削がれまくっている現実を受け止めますと、長々とした話をじっと座って観賞するのもツラくなってますし、途中で飽きられないためにも、そんなオトナの方が観てもチャプター分けされたりしてますのでサクっと観られるはずです」

―― 映画館でエンドクレジットが出た瞬間からスマートフォンの電源オンにして画面見始める人が多いことを考えると、オトナでも映画を観る集中力が無くなっている現実。

FROGMAN:今の現代人はテレビの視聴中だと5分刻みで集中力が切れるそうなんです。それを考えるとオトナでも子供でも見やすくシーンを刻んで区分けするのもいいんじゃないかっていう狙いはありました。実験的かもしれないですが、かなり練ったマーケティング戦略でもあるんですけどね。短い尺なので伏線張りまくった高等な内容はあまり求められてないと思ったこともあり、シンプルな展開を重視しました。実は『鷹の爪8』の実験というのは……吉田くんを絡めた形で島根、出雲の神話を今回やりましたが、いずれはもっとディープにこの辺りの神話は描いていきたいんですね。ゆくゆくはこの『×ファイル』を島根の不思議な話の大全集にしたいっていう狙いがあるんです。『鷹の爪8』は子供にもわかるよう劇中に多くの説明が入るようになってます。このシステムをスタンダードにして、従来の『鷹の爪』の本筋とは別の形でスピンオフさせていき、エデュケーショナルな『鷹の爪』シリーズを展開したい、っていうかこれが僕の抱いている野望なんです」

―― 既に『鷹の爪』は国民的アニメにまで昇華しているというのに、まだまだファン層の拡大を広げるんですか!

FROGMAN:NHKの『ビットワールド』や『月刊コロコロイチバン!』で知った新しいファンも実際のところ多くいるんです。いつもならばバカなギャグアニメで終わるんですけども、次のステップとして教育機関への参入……までは行かないですが(笑)、子供たちに歴史をより理解してもらえるようなエデュケーション部分を押し出した『鷹の爪』を吉田くん、そして島根と出雲から発信して、全国を制覇するとかやってみたいんです。とは言え、マジメすぎても吉田くんが活きないので、怪奇現象とか都市伝説的な謎とかを紐解いていく感じでアニメが作れればなぁっていう構想を抱いてます」

―― え!? これって……そのまんま20世紀フォックスの『Xファイル』ですってば(笑)。

<次回に続く>

鷹の爪8ポスター

『鷹の爪8 ~吉田くんのX(バッテン)ファイル~』
8月20日(土) 先行公開!8月27日(土) 全国拡大公開!
配給:DLE/プレシディオ
(C)「鷹の爪8」製作委員会
映画オフィシャルサイト:www.takanotsume.jp/xfile

※下記日程で舞台挨拶実施。詳細はwebサイトをチェック
・9月3日(土)TOHOシネマズららぽーと富士見にて16時回
・9月4日(日)池袋HUMAXシネマズにて14時回

■クソアニメと呼ばれて10年 ~『秘密結社鷹の爪』10年史~
扶桑社より発売中
http://xn--u9j429qiq1a.jp/1634/

■鷹の爪団のSHIROZEME in 国宝松江城 2016
9月17日、土曜日、国宝松江城にて開催
http://shirozeme.com/

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