映画『不能犯』白石晃士監督インタビュー

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松坂桃李が初めてのダークヒーローを演じることで話題の映画『不能犯』が2018年2月1日(木)から全国公開となる。

今回、映画公開に先だって本作の監督でありドラマ版の監修を務める白石晃士監督にインタビューを敢行!


[取材:畑史進]

宮月新が原作、神崎裕也が作画を務めるグランドジャンプで連載中の大人気コミックを実写映画化した『不能犯』が2月1日(木)に全国公開する。数多の変死事件現場に現れる黒スーツの男・宇相吹正が、自身の持つ「思い込みの力」だけで人間を殺す能力を活かして、殺人の請負をしているが、対する警察は殺人の立証ができないため彼を捕まえることが出来ない。そんな中、正義に燃える刑事・多田友樹が彼の犯罪を証明し逮捕するために追い続けるというのが原作のストーリー。映画版では、宇相吹正を松坂桃李、多田友樹は女性に変更され多田友子として沢尻エリカが演じる。ドラマ版は、12月22日よりdTVで配信中で、映画版と同キャストで制作されているので気になる人は、dTVをチェックだ。






—全体的な映画の画作りがコンパクトで1カットが漫画の一コマのような感じだったので漫画を読み終わったような感覚に浸れる映画でしたが、カット割りにはかなり気を使われたのでしょうか?

白石:いつもと同じように気を使いました。


—本作の制作に至った経緯を教えていただけますか?

白石:制作会社のプロデューサーから『不能犯』の実写化のお話をいただいたんですが、そこで初めて原作を拝読して、私がいつも映画の中で描こうとしていることに近い要素があったので、そこを突破口にすれば面白くなるという勝算を感じて、受けさせていただきました。


—原作は特殊能力を使える男が人間のどす黒い感情を弄んで「人を呪わば穴二つ」を体現したようなちょっとブラックな教養漫画みたいな部分があります。これを実写にした際ホラーテイストにアレンジされたのはどの様な意図があったのでしょうか?

白石:あまりホラーにしたつもりはないのですが、自分は原作の中で宇相吹の得体の知れない不気味さを感じ取っていたので、それをそのまま映像にした感じです。彼は色んな人を依頼通りに仕掛けて死に追いやる、その中で依頼者もまた闇に落ちる。でも宇相吹の中には何か狙いがあって、依頼を遂行していく中で何かを見出そうとしている側面があるので、そこを縦軸にしていくと長編映画にできるなと思いました。



—原作ファンにとっても気になるところなんですが結果として今回の実写化では刑事の多田が女性に変更されたのですがそのへんはどういった思惑があったのでしょうか?

白石:原作の中だと気にならないんですが、実写にすると、男と男の対立だと男の力強さが全面に出てしまい、漫画よりもずっと男くさい映画になってしまいます。そこで、相対する縦軸の存在を女性に変更することで原作にあるセクシーな雰囲気に近くなると考え、原作者にも確認をとって多田友子というキャラクターを作りました。


—沢尻エリカさんはどうでしたか?

白石:沢尻さんは可愛かったですよ(笑)


—沢尻さんは『ヘルタースケルター』で役が抜けきれないとか以前からサバサバした印象が強かったのですが現場ではどうでしたか?

白石:今回の現場ではカメラが回っていないところでは自然体でにこやかにされていましたよ。本当に現場での立ち振舞も優しくて協力的で、作り手側のやりたいことを汲んでくれました。だから現場の皆は彼女の事が好きになっていたと思いますよ。



—多田の部下百々瀬役を演じた新田さんは、アクションが冴える演技で見事に所作をこなしていましたね。

白石:見せ場としてはさり気ないんですが、元々の身体能力が高い所も発揮されていましたね。


—劇中取っ組み合いで相手を伏せさせるシーンがありますがリテイク自体もそこまで多くなかったのではないでしょうか?

白石:受け手との呼吸の問題もありますから何度か撮った記憶がありますが、彼にとってはあの程度の動きは難しいものではなかったと思います。彼の演技やアクションは他の作品でも発揮されているので今後どんどん羽ばたいていくでしょうね。


—本作を観にくるお客さんの多くは原作のファン、もしくはコアなアニメファンが観にくると思うんですが、この作品って物語シリーズの『偽物語』の貝木泥舟に近い印象を受けたんですよね。もしかしたら今後Twitter等でそういう反応も見られると思うんですが、実は参考にされたりしましたか?

白石:いや観ていないですね、全然知りませんでした。


—そうなんですか!?じゃあ同じ集英社絡みでお聞きしたいんですがこの宇相吹の能力って『NARUTO -ナルト-』に登場するイタチというキャラクターの使う「月読」や『DEATH NOTE』に設定から演出まで近い部分を感じ取る人もいるとは思うんですがそれもご存知ありませんか?

白石:知らなかったです、逆に色々見ておいたほうが参考になったかもしれませんね(笑)


—じゃあ偶然の一致ですね(笑)制作期間、撮影期間はどのくらいかかったのでしょうか?

白石:撮影は1ヶ月ちょっとで終わりました。撮影から初号試写までは9ヶ月かかりました。CGも大きく目立つような使い方はしていないんですが、細かい加工等でたくさん使っています。



—昨今漫画の実写化において色々言われることが多いですが、監督の中で明確なルールというのがあれば教えてください

白石:1つは原作そのままにやっちゃったり、原作の絵柄に近づけたりアニメの仕草に近づけるのは駄目ですね。実写化にあたり構築していく過程で、自然と似てしまったというのはありだと思いますが、そもそも似せようと思ったら失敗すると思います。また、実写化した際にどういった形が感触として原作に近づけるのかということが重要だと思います。紙の上で描かれているキャラクターを実写にし、リアルの世界に登場させたときのリアリティをどういう風に変換して大事なところを維持すれば良いのかという部分が見せ方として大切ですね。ビジュアルは180度変わっても鑑賞したときには原作に近い映像化だったねと思える場合もあると思います。


—制作時苦労したポイントってありますか?

白石:脚本ですかね・・・複数ののエピソードを描く必要があったので、必然的に場面や人物が多くなりました。そのうえで、それぞれキャラクターの見せ場と縦軸がぶれないように構成しなきゃならなかったのでその部分は苦労したと思います。


—原作を見たことがなく初見でこの作品、世界に触れる方にメッセージをお願いします。

白石:それぞれの見方で観ていただければ良いのですが、宇相吹の行動に翻弄されながら観ていただければ嬉しいです。そしてこれは原作ファンも含めてそうなんですが、「あなたならどうしますか?」とお客さんに突きつける映画になっているので、見た後でお客さんなりの答えを考えていただければなと思います。


—原作ファンに向けてメッセージをお願いします。

白石:原作の最もコアな部分を抽出した映画なので、きっと原作ファンの方にも満足いただける映画になっていると思っています。是非劇場で楽しんでください。




【監督】白石晃士
1973年生まれ、福岡県出身。主な監督作品は、『暴力人間』(97)、『ノロイ』(05)、『オカルト』(09)、『グロテスク』(09)、『超・悪人』(11)、『カルト』(13)、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! シリーズ』(14)、『ある優しき殺人者の記録』(14)、『殺人ワークショップ』(14)、『鬼談百景(密閉)』(15)、『ミュージアム -序章-』(16/WOWOW)、『貞子 vs 伽耶子』(16)など。





『不能犯』
2018年2月1日(木)、全国ロードショー
配給:ショウゲート
(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会  
公式HP:funohan.jp/



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