町山智浩が解説!『へレディタリー/継承』トークイベントレポート

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「ホラーの常識を覆した最高傑作」「現代ホラーの頂点」と批評家から最高の評価を受け、全米を震撼させたホラー映画『へレディタリー/継承』が11月30日(金)から公開をスタートした。今回、映画評論家の町山智浩によるトークイベントが開催された。



イベントに登場した町山は「先日、アリ・アスター監督にお会いして、本作についていろいろと話を聞いてきたんですよ。」と話しはじめる。「本作は様々なホラー映画の要素を取り入れていることはホラー好きの方なら気付かれているかと思うのですが、アリ監督は、『オカルトやホラーのふりをしているけれど、自分はそういったつもりでは作っていない。物語の後半部分が非常に肝となっていて、これは家族ドラマなんだ。』と言うんですよ!」と興奮気味にまくし立てる。アリ・アスター監督は、本作を撮るにあたり、“家族の嫌な話の映画リスト”を作ったそうで、「劇中で主人公アニーが息子のピーターに対して『あなたなんて産みたくなかった』と告白するシーン。母親が息子を拒否することがとてもショッキングなのですが、ロバート・レッドフォードの『普通の人々』を観た時にアリ監督がとてもショックを受けたことを自分なりに解釈して具現化したと言っていました。」と町山は語る。

また、アン・リー監督『アイス・ストーム』を意識している点として、劇中でアニーの夫スティーブンが信号待ちをしながら嗚咽するシーンを挙げた他、アリ監督が好きだと挙げているイングマール・ベルイマン監督の『叫びとささやき』やミヒャル・ハネケ監督『白いリボン』、『セブンスコンチネント』、ラース・フォン・トリアー監督『アンチクライスト』等からも多大なる影響を受けていると、町山は解説。日本の映画に影響を受けていることにも触れ、「クライマックスでピーターがひどい目に合うシーンは、溝口健二監督『雨月物語』や新藤兼人監督『鬼婆』を彷彿させます。『へレディタリー/継承』は家族の嫌な話の集大成なんですよ。」と本作の真髄を語った。

アリ監督が家族の嫌な話にこだわる点について町山は、「アリ監督自身の家族にあることが起きて、とても傷ついたことが影響していると言っていました。プライベートなことなので、と多くは語らないのですが、大切な存在であった弟に遺伝的な疾患か何かがあったみたいですね。」と明かし、「アリ監督は自分自身の傷ついた心を癒すためにこの映画を作ったそうです。劇中でアニーがミニチュアのドールハウスを作っていますが、元々は箱庭療法から始まってるんですよ。アニーは夢遊病という設定でしたよね。自分自身が家族をコントールできないことを治療する目的で箱庭療法を受けていましたが、皮肉にもアニーはもっと大きな箱庭で、運命というものに操られていたんですよ。」と説明した。他にも、劇中のいろいろなところにネタが隠されていると町山は言及。ピーターが学校で受けていた「ヘラクレス」の授業について、「ヘラクレス受難について先生が講義しているのですが、受難を自ら受けることを選ぶしかないという内容がまさにピーターの運命について語られていたんですよね。」と明かした。

本作の見どころについて、「何度見ても発見があると思います。僕自身もまだ気付いていないこともあるんじゃないかな。それぐらい『へレディタリー/継承』は様々な映画の影響を受けている作品です。アリ監督は、シナリオ作成に5年もかかったのは自分のトラウマを克服するのにかかった時間でもあると話していましたが、パーソナルな部分がないと映画って作れないんだと思います。」と町山は語り、「パンフレットにネタばらしや皆さんが疑問に思ったことの答えが書かれているので、それを読んだ上でもう一度観てみてください!」とリピート鑑賞を薦め、トークイベントは盛況のうちに幕を閉じた。



『ヘレディタリー/継承』大ヒット全国上映中
配給:ファントム・フィルム
(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC
公式サイト:hereditary-movie.jp



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