DOAはどう進化したのか?『DEAD OR ALIVE 6』インプレッションレポート


【文:畑史進】

3月1日にコーエーテクモゲームスから発売された対戦格闘アクションゲーム『DEAD OR ALIVE 6』。1996年のアーケードで第1作目が発売されて以来、実に20年以上の歴史を持つ作品で、スピンアウト作品『エクストリーム』シリーズも人気を博している。

そんな本作の魅力は、ド派手な演出のステージギミックや、キャラクター描写の繊細さにあり、2007年には実写映画が公開され、その時のキャッチフレーズが「そのルックスで殺す」と書かれるほどキャラクターモデルに対するユーザーからの評価は高い。そんな僕の愛用するキャラクターは『3』から参戦したヒトミ。直線的で素早い攻撃と吹き飛ばし要素が豊富なので長年愛用していたが、実写版で同名のおっさんに変貌を遂げた際、どれだけ大きな心の傷を受けたか計り知れない。今作も事前情報無しに起動してからトレーニングを選択し、キャラクター選択のリストの中に残っていて、心の底からホッとした。

ゲームシステムも他の格闘ゲームと比べると操作のしやすい作りで、パンチボタンとキックボタン、投げ技を決める投げボタン、そして相手の技をタイミング良く受け止めて反撃を行うホールドボタンの4つで構成されている。今作はこれに加えて「スペシャルボタン」(以下Sボタン)というものが追加された。これは前作に当たる「クリティカルバースト」の要素を分解したようなシステムで、「Sボタン」に関連する技を発動するためには、「ブレイクゲージ」というゲージを消費することになる。

Sボタンは他の攻撃ボタンと組み合わせることがなく、連打でヒットさせると相手を強力なスタン状態にさせて連続コンボを決める「フェイタルラッシュ」、敵の打撃をさばき強力な一撃を放つ「ブレイクブロー」、相手の攻撃に合わせて向いている方向と逆の方向キーを押して発動する「ブレイクホールド」、奥や手前にサイドステップした際にSボタン」押して相手の攻撃を避けながら攻撃を仕掛ける「サイドアタック」を行うことができる。ヒットさせた際には、ステージギミック同様にキャラクターの個性を活かした演出が発生するので、対戦中は終始エキサイティングできる。

「格闘ゲーム」と聞くと、コンボをどれだけ多く覚え、如何に相手のスキを作って最良のタイミングで叩き込むかと考えてしまいがちだ。しかし、先も書いたように、このゲームはステージギミックがド派手で、相手をギミックポイントにぶつけたら演出に比例するかのような大ダメージを与えることができるので、コンボばかりでなく、ステージの状況を見て大きな一撃を如何にタイミングよく打ち込むかが勝利への近道となる。

さて、『DEAD OR ALIVE』シリーズは、操作周りだけでなく初心者に少しでもゲームのルールと立ち回りを理解してもらうために色々な施策を盛り込んでいる。今作において、初心者の人がはじめてこのゲームを起動したら、最初に選ぶべきはストーリーではなく、「DOA クエスト」というモードを選ぶといいだろう。これは、今作に登場する様々なキャラクターを使って、いきなり対戦していくモードなのだけど、対戦中には様々な3つの課題が用意されており、クリアできなかった課題は当該のチュートリアルに案内されて、操作方法を親切に教えてくれる。もう20年近く遊んでいた身の僕も、この親切設計はすごく感心したし、もっと早い段階からあったら良かったなと、今の初心者プレイヤーが羨ましく感じられるくらいだ。

また、このモードは色んなキャラクターを触れるという点からもわかるように、とりあえず一通り触ることで、自分のプレイスタイルに合うキャラクターを探すことができる良い作りになっている。またCPUも課題に合わせて設定されているため、よほどの事がない限りバトルで負けることは無いので、どんなに触り心地が悪いキャラクターでもストレスになることは無いだろう。見た目で選んで挫折するより、このモードでキャラクターを見つけたら、そのキャラクターと一緒に「コマンドトレーニング」や「コンボチャレンジ」で腕を磨けばオンライン対戦に足を踏み入れる準備ができるはずだ。

ストーリーもハイクオリティで描かれたムービーシーンは圧巻物で、特にリュウ・ハヤブサが出てくるシーンは毎度、ファミコンの『忍者龍剣伝』の苦い思い出を思い出させてくれる。決して近作の『NINJA GAIDEN』ではないのが、高齢ゲーマーの宿命だ。

オンライン対戦を数戦ほど戦った感想を話すと、今作はマッチングが非常に快適で、あまり待ち時間が無いのは驚かされた。ラグも微々たるものを感じることもないくらい操作がスムーズに行われ、最近リモートプレイに対応したiOS でプレイしていても楽しいと思えるほどだった。『DOA5』の無印から遊んできた僕としては、これは歴代最高クラスの快適さだと思った。

ただ、今作最も気になってしまったのはコスチュームの開放だ。今作はコスチュームの設計図というものを集めなければ購入権が開放されず、ようやく開放できたかと思ったら、そこそこいい値段のゲーム内マネーを消費するため、人によってはストレスになるだろう。また、手に入る設計図もランダムなため、ほしいコスチュームのほしいカラーが会ったとしても希望通り手に入るとは限らない。この辺はせめて次に開放するコスチュームを選択できるようにするなど、仕様を変更するべきではと思った。ちょっと驚いたのが、ストーリー中に女天狗が使用でき、コスチュームのカスタマイズが選択可能なのに対戦では使用権を買わなければならないという点だ。予約特典だったため購入しなくてもいい人もいたりするのかもしれないが、前作からいるキャラクターなのだからデフォルトで使用できても良いんじゃないのかと思った。加えて、シーズンパスも高額でちょっと手が出しにくいと思った。せめてキャラクターシーズンパスとコスチュームシーズンパスの分け方をしてもらえたらもう少し手が出しやすくなるものだが、どうにかならないものだろうか・・・。

と、なんだかんだ最新作『DEAD OR ALIVE 6』を触った感想をお話したが、全体的に『5』からの正当進化でありつつも、好評だったシステムを極限までスマートな操作に昇華されているため、キャラクターを操作していて大変おもしろい格闘ゲームである。オンライン対戦で負けたときの悔しさはあっても、楽しさのほうが残る稀有な作品なので、興味があれば手にとってほしい。最後に、追加キャラクターは頑張ってケイン・コスギやデヴォン青木、ジェイミー・プレスリーを採用して欲しいと切に願う。

『DEAD OR ALIVE 6』発売中
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
公式サイト:https://www.gamecity.ne.jp/doa6/

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