映画レビュー エロではない緊縛アートなセンスが開花した『花と蛇』リボーン!

 




小向美奈子が静子を演じると最初聞いて、前作、前々作の杉本彩と比べても随分年齢的に若過ぎるんじゃないかと観るまでは思っていた……が、迫力 ある濃厚なボディが縄で縛られていく過程で見られる恍惚な表情、そしてロープワークの美的感覚が巧みなハーモニーを奏で始めて行き、原作の設定気 にするなかれ。しっかりと小向版・静子は彼女ならではの独自で独特なワールドを構築していくのだ。




団鬼六先生も今回の静子を大変お気に召しているようで、小向のダイナマイトボディに谷ナオミとオーバーラップしたんじゃないかと勝手に妄想的想 像。小向の体当たり演技は確実に新境地を切り開いたと思える。それら緊縛されたSMシーンの数々は、妖し気な雰囲気ながらも昔風なしっかりと作り 込まれた絵作りをしている箇所は素晴らしいの一言。やはり成田裕介監督のキャリアと世界的に著名な緊縛師の有末剛の力量は伊達じゃないんだと教え込まれた瞬間。



執事の伊沢を演じた火野正平は台詞も少ないのだけれど、目の動きとちょっとしたシグサで演ずる表現技法に驚愕。もう存在感だけでヤバイ。やはり この人が登場するだけで絵が引き締まる。個人的には”松本明子の旦那”なイメージの強かった本宮泰風は、静かなる内に秘めたイヤらしさも素晴らし かったので、本作を皮切りに小向と同様、新境地へトライしてみるのも良いのではなかろうかと
思わされた。本宮の影のある演技はこのような『花と 蛇』シリーズに向いているような気がする。



普通だったら小向の緊縛シーンや責めに興奮するはずの『花と蛇3』であるが、筆者は小向×水谷ケイのレズビアンチックな絡みにドキドキしてし まった。
なぜだろう? ……わかった! 安達哲原作のコミックが実写映画化された『お天気お姉さん』の仲代桂子役を務めた水谷のイメージがあまり に強烈過ぎたんで、15年ほど経った今でも引きずっていることからこの2人の絡みに心拍数が上がりまくったんだ!まさに静子vs仲代桂子な図式で(汗)。



レビュアー 吉田ミアン(元ジャンクハンター吉田)



『花と蛇 3』
絶賛公開中!
出演
小向美奈子、本宮泰風、小松崎真理、琴乃
睦五朗、水谷ケイ、火野正平



監督:成田裕介
脚本:我妻正義
原作:団鬼六(「花と蛇」幻冬舎アウトロー文庫)
緊縛:有末剛
製作・配給:東映ビデオ 
R18+
[公式サイト] 
(C)2010東映ビデオ 

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