第4回目『いのちの食べかた』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第4回目『いのちの食べかた』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
今日の昼は、新橋の『ザ・カリ』でビーフカレーを食べた。


打ち合わせ後、久しぶりに虎ノ門『港屋』へ行き肉蕎麦を完食。


夕食は、やっと予約が取れた白金『金竜山』で焼肉、うーんウマイ!


寝る前は、東海林さだおの『まるかじり』シリーズを読みながら「明日は何食べよっかなーー?」なんて考えてる。


そんな僕みたいな人間が絶対観ないといけない映画がこれ




『いのちの食べかた』


人間が食料として摂取している野菜・魚・鳥・豚・牛などがどのように加工され食卓に並んで行くかを、ナレーション無し・セリフ無し(当然字幕も無し)・BGM無し・特別な編集など一切なしで淡々と撮ったドキュメンタリー作品です。


・工業用品のようにベルトコンベアで運ばれるヒヨコ


・飛行機で一気に農薬を撒かれる植物


・巨大な建物で何千~何万匹と育てられる鶏


・太いパイプを通ってガンガン水揚げされ、そのまま捌かれいく魚


・広大な工場のような場所で水に流され品別されて行くリンゴ


・流れ作業の中で殺され解体されて行く豚に牛


これら全部が最終的に僕らの胃の中に入って行く訳で、やっぱり僕らも、時にはこういう現実もしっかり見ないといけないと思いますね、はい。僕らが生きて行くために、他の生き物の「いのち」をいただいてる、というのがよく分かります。


ただ、この映画で本当に重要なのは、単に「食」や「いのち」を描いてるだけでなく、大量生産大量消費という「資本主義」の姿を描いてる点じゃないでしょうか。
畑仕事をしてる労働者を監視員が双眼鏡で監視してるというシーンがありましたが、要は安い賃金で畑や工場で、死ぬまで毎日毎日同じ労働をしなきゃいけない人間だって、実は食肉になるまで同じ建物で一生を過ごす動物達となんら変わらない訳です。


そういう意味では『ザ・コーポレーション』とか『ファーストフード・ネイション』なんかの映画に近いかもしれません。どちらも資本主義社会で生きている我々が今本当に観るべき!映画です。


僕らが普段何気なく<便利>で<快適>な暮らしをしている背景には、どんな現実があるのか、というのがしっかり描かれております。


DVD特典のインタビューで、ニコラウス・ゲイハルター監督は「映画を撮ろうと思ったきっかけはなんですか?」と聞かれて「食料品がどんどん安くなってくことに気付いたんだ」と答えてるんですが、これぞ資本主義の罠というか、企業は利益のみを追求し、消費者は値段や宣伝ばかりに気を取られ、どんどん本当の部分というのが隠れていってしまうんですね、「安い方がいいじゃん」「みんなが食べてんだからいいじゃん」と、これが怖い!


「エコ」とか「ロハス」とか「マイナスイオン」とか「コラーゲン」とか「ヒーリングなんちゃら」とか、、、、、最近はまあとかく色々なことが、なんとなく「いい感じ」としてチヤホヤされておりますが、正直イメージばかりでウサン臭いモノが多い!!


まずは本物の現実に目を向けるというのが、実は一番大事なんじゃないでしょうかねえ?


余談ですが、僕は自宅でいわゆる「出汁(だし)」を全部自分でとってます。


豚や鶏の骨を買ってきて、しっかり洗って汚れをとり、じっくり煮る。


それは単に味が良いというだけじゃなく、やっぱり他の生き物の「いのち」をもらってるっていうのがすごく分かるし、そうやって自分でとった食材は絶対に最後の一滴まで無駄にしないんですね。値段や手間で考えたら市販の出汁を買った方がよっぽど簡単なのですが、そこはやはりしっかり自分でやろうと。


とにかくまあ、エコでロハスでマイナスイオンでコラーゲンでヒーリングな人達には、ぜひとも観てもらいたい、リアルな作品です!


小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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