『古代少女ドグちゃん まつり スペシャル・ムービー・エディション』公開記念井口昇インタビュー

 2/20よりシネマート新宿にて公開中の『きょーれつ! もーれつ!! 古代少女ドグちゃん まつり スペシャル・ムービー・エディション』。今回は監督の井口昇さんにインタビューしてきました。


『恋する幼虫』の時以来、久しぶりにお会いしましたが、弁舌滑らか。さらに妄想とイマジネーションはさらにさらにパワーアップ! 下ネタがちょっと混じってますが、ご容赦ください。映画はいよいよ3/5まで! 
『古代少女ドグちゃん まつり スペシャル・ムービー・エディション』公開記念井口昇インタビュー
(編集部)イベントで褌(ふんどし)姿になるのは『恋する幼虫』のオールナイトイベント以来ずっとですか? 
(井口監督)あれからゆうばり(映画祭)でもやるようになって、何故か”習慣化”してしまって(笑) 毎年ゆうばり映画祭でやっていたら、あれ(褌姿)じゃないとダメみたいな感じになってしまいましたね。ゆうばり映画祭の裏名物みたいな(笑)
(編)『恋する幼虫』の時からだから、もう7・8年前ですか(笑) 褌姿で外国の映画祭にも行ったと聞きましたが
(井口監督)テキサスとニューヨークと、あとスペインのサンセバスチャンとか。(褌姿に)させられる感じですね(笑) 西村さんが江戸っ子で浅草出身なんで、褌に抵抗ないっていうか、祭り好きなんで(笑) なんで、褌姿じゃないと不思議がられたりするように最近なってしまいましたね(笑) ニューヨークに行った時は、ビックリした瞬間に褌が外れてしまって(笑) モロに出てしまいまして。外国人の人から「前!前!」みたいな日本人と同じリアクションがありました。危ないですね~(笑)
(編)もう皆さん慣れてきているんじゃないですか?
(井口監督)ええ。この前、北海道で舞台挨拶をやったんですけど、その時褌で突然入ってくるっていう演出をやったんですよ。でも、全然反応がなくて(笑)もう皆知っている感じですね。
(編)『片腕マシンガール』の時もスクリーンの中から褌姿で挨拶してましたよね。今回の『古代少女ドグちゃん』でも谷澤さんがスクリーンから観客に話しかけてきたりしますけど、何かスクリーン上のキャラクターと観客の間に何か交流があるような感じで。どういった気持でやっているんですか?
(井口監督)あれは定番ですね(笑) カメラ目線とか。なにか最近3D(映画)とかが流行っているじゃないですか。私なりにお客さんとの”一体感”というか、3Dじゃないのに立体効果というか、”身近”に感じられる効果を狙ってます。気持は3Dなんですよ(笑)特に今回のドグちゃんは、”お祭り”の企画なので。
(編)最初から映画化する予定だったんですか?
(井口監督)映画にする気はなかったのですね。最終回の仕上げをしている時に、急に映画にしないかというお話をいただいて。じゃぁ、TVシリーズからのファンの方も来るだろうということで、ファンの方にサービスをしようと。それで、スクリーン上からドグちゃんが語りかけるというのをやってみたんですけども(笑)
(編)TV版と今回の劇場版で、どこが変わっているんですか?
(井口監督)追撮が何%か加わりました。編集が変わっています。第1話と最終回を”強引”につなげてみたので(笑) 1本の映画に見えるように(笑) 
(編)最初のドグちゃんが太鼓をデンデケ叩くシーンはどこで撮ったんですか?太鼓を叩くドグちゃんのバックにあるピンクの衝立が良い感じで安っぽくて
(井口監督)あれはAVをよく撮っている安いスタジオで撮ったんですけど(笑) 今回の編集版と一緒に上映するパイロット版の時は予算が結構あったんですけど、今回の追撮は予算がたった”30万円”しかなかったんですよ(笑) しかも、半日で撮らなくちゃならなくて。微妙に本末転倒だなと思って撮ってましたけど(笑) ドグちゃんは、元々低予算番組なんで”チープ”であることが前提で作っているんで。「豪華にはなんないよ」ってことを冒頭で言いたかったんです(笑) でも、あの太鼓のカットだけで午前中かかりました。一瞬しか映っていないですけど30カットくらい撮ってますね(笑)
(編)低予算とはいっても、ドグちゃんのコスチュームの造形とかは気合が入ってますよね
(井口監督)よく予算がかかっているように思われるんですけど、全くそんなことはなくて。造形の西村さんが、ほとんど儲けなし、利益なしで頑張ってくれているんで。それで、なんとか豪華に見えるようにしているんでけどね。皆の情熱でなんとかもっている感じです(笑)
(編)谷澤さんをドグちゃん役にキャスティングするのは、すぐに決まったんですか? 
(井口監督)候補の方は何人かいらっしゃったんですけど。谷澤さんが面接の場所に来た時に、もう「あっ!この娘だ」と思いましたね。
(編)そう思わせたのは何ですか?
(井口監督)ドジっ娘キャラですよね。なんか漫画みたいな人だな~と思って。机の角に足をぶつけていたりとか。なんか愛嬌というか。人懐っこいところでしょうね(笑)
(編)ドグちゃんのイメージって最初からあんな感じだったんですか?
(井口監督)どの人が演じるかによって、だいぶ変わるなと思ってました。土偶のビキニというイメージしかなくて。実際に女の人が着たらどんな風になるのか想像がつかなかったですね。僕自身が。
(編)土まみれの女性とか、かなり監督のフェチが入ってますが、あれは各監督の趣味なんですか?
(井口監督)低予算番組なので、それぞれの監督の趣味嗜好がでて。何がグッと来るのかが監督さんによっていろいろと変わってくるんですよ。僕は土の中に入れたりとか触手とか、触手で縛られたりとか(笑)
(編)ドグちゃんのコスチュームは谷澤さんに似合っていて良い感じですよね 
(井口監督)観てくれた方からの反響をみると、あのプニョプニョ感がいいみたいですね(笑) 無自覚なエロティシズムをやりたかったんですよ。もともとの発想のルーツが「うる星やつら」なんですよ。それを実写でやったら、どうなるんだろう?というのがスタートだったんです。そういえば、そういう作品は無いなというのと、女の子版「ゲゲゲの鬼太郎」というのもあって。なので、出てくる女の子も”漫画感”というのが必要だろうと。なんか愛くるしさというか、なんか動物のようなお芝居をしてほしいって思ったんですね。最初に谷澤さんに「5歳の女の子の気持ちで演じてください」って言ったんです。心は五歳で。でも観ている人には、あの”エロティック”な肉体が、普通に日常に居るから、何か観ている人は変な感じになるんじゃないかな。と思って。無自覚のエロティシズムというか。
(編)そこにいる男性、受け手側が感じる気恥ずかしさとか、そういったものですか?
(井口監督)そうですね。あのコスチュームを定食屋だったりとか、いろんなところで、あの恰好との違和感があればあるほど映像は面白くなるんじゃないかな~。と思ってましたね。美少女版オバQみたいな感じですね(笑)
(編)基本的なテイストが70~80年代TV番組っぽいですよね
(井口監督)どっちみち予算もあまりなかったので。アナログ的な特撮というか。ドグちゃんの相棒のドキゴローもフルCGではなくて「まんがはじめて物語」のモグタンみたいな感じでやりたい!と思ってました。それで、各監督とも意見が一致しましたね。ワイヤーで口をパクパク引っ張ってみるのを、今の時代で敢えてやってみたいと思って。
(編)斉藤由貴さんの出演は驚きましたね
(井口監督)斉藤由貴さんは僕らの世代からすればジャストミートなんで(笑) 今回、妖怪役を意外な人に演らせたいというのがあって。斉藤由貴さんに、もう一度スケ番刑事のような動き、アクションをしてもらいたいな~と思って。それであの役をお願いしました。正直、受けてもらえないんじゃないかと思っていたんですけど、最後まで造形の手袋をつけて演じてくれたので感謝してます。
(編)全体的に懐かしい雰囲気でいいですよね。なんか「毎度おさわがせします」のような
(井口監督)そういう雰囲気をだしたかったんです。音楽なんかも『パンツの穴』のような感じで、ポワンポワンみたいな安っぽいテクノにしてくれ。って音楽担当の人に頼んで(笑)
(編)童貞野郎へのこだわりは本作の中にもあるんですか?
(井口監督)そうですね。ここしばらく童貞ブームだったじゃないですか。でも、あれは違う!と。で、童貞といえば、これだ!というのを出して行かなくちゃと思ってましたね(笑) 主演の窪田くんにも、ナヨナヨとした、優柔不断な感じの演技をお願いしました。俺たちの思っている”童貞”ってこっちなんだ!というのをいかに出していくかを考えてましたね。
(編)井口監督にとっての童貞ってなんですか?
(井口監督)僕も童貞歴が長かったんですけど。今の童貞観には違和感があって。今の童貞の方と僕らのと違うのは「やれるのにやらない」という人が多いんですよね。僕らはそれとは違って「やりたいのにやれなかった」。つまり、努力をしてもやれないのが童貞じゃないかと(笑) 努力をして粉砕するのが男なんだ!という。それが僕の中での童貞スピリットでは思うんですね。僕の周りにも多いんですよ。40歳を越えて、50代の童貞の人も勿論いますけど。みんな飢えているんですね(笑) 飢餓感があるのが僕らの時代の童貞であって。そう、軽い溜息をつくような人ですね。僕にとっての童貞は。今の人はエンジョイしてしまっていて、そういうのは僕の中では童貞とは呼ばないですね。分かんないですけど(笑)
(編)そういう環境の中で無防備でエロティックなドグちゃんが来るのが良いんですね
(井口監督)寸止めで。努力をしようと思うんだけれども、できないまま寸止めで続くというのが、やっぱり良いんじゃないかな~と。もし、実際にセックスシーンがこの作品の中にあったりすると、多分ダメなんだろうな~と。ただ、エロティシズムは寸止めで持続していないといけないんじゃないかなと思って。そういう意味では、今の若い10代、20代の人たちへの、呼びかけのような作品にしたいなと(笑)
(編)呼びかけに(笑)
(井口監督)君たちの生き方を、もう一度考えてみないか!?そういうみたいな作品になればいいかなと(笑)
(編)第1話に登場する「鯉こく」を食べている童貞さんたちがいますけど。あの童貞たちがソニンさんが演じる妖怪を倒したドグちゃんに「何故殺したんだ!」って非難しますが、あれはどんな意図で描いたんですか?
(井口監督)僕らの子供の頃のTV番組って、ちょっと”苦味”があったと思うんですよね。正義のつもりでやった筈が、でも実は周りの人たちは、その妖怪・悪がいてくれた方が良かった。みたいな。それをあの回では表現したかったんです。あの人たちの描写に関してチャレンジしたかったのは『電車男』から始まった、いわゆる”おたく”は図式化されたステレオタイプの「おたく」でしかない。本当のおたくは、そうじゃないんだと。本物はそんな「リカちゃん人形」は持っていないし「バンダナ」もしていないんだと。もっとそれをTシャツ1枚でそれを表現できないかなと思って。今のTVや映画界に対する、表現のアンチテーゼをやりたくて。とりあえず、私の周りにいる”おたく”で、味わい深いな~と思う人たちを、僕が思うモテない人たちをリアリズムで描いてみたら、ああなったという(笑)
(編)人選はどうしたんですか?
(井口監督)全員知り合いです(笑) 僕はENBUゼミの講師を2年前にやったんですけど。その時の生徒が3人くらいいて(笑) あとは友達の助監督とかですね。とにかく、あのシーンでは元気な芝居はしないでくれとお願いしました。とにかく空虚な、”魚のような眼”をしてほしいと(笑) 君たちはリアリズムの権化なので、ロベール・ブレッソンの映画に出てくる素人の役者のような演技をしてくれとお願いしました。ここ何年かのTVドラマって何か若者を描くとなんか元気じゃないですか。『ルーキーズ』とか。ですからアンチルーキーズですね(笑) 俺の思うルーキーズは彼らのことだと(笑) TV番組の中にリアリズムを入れて、元気がない人たちを登場させて、今のTV番組に無いものを何か入れていきたいなというのがありましたね。
(編)妖怪たちのやっていることが、すごく可笑しいですよね
(井口監督)社会批判もしたくて。元々はこの企画もアクション物と何か社会的な批判を取り入れたものができないのか?というプロデューサーさんの意向もあって。考えて考えて、ああなってしまったという(笑) 水木しげるさんの本を読んだりすると、当時の昔の社会の不安だったり矛盾とかが実は妖怪の仕業なんだとか。例えば枕の位置が変わっているとか、小豆が濡れているのも妖怪が舐めているからだとか。なんでもこじつけるんですよ。現在の社会にもいろんな矛盾があるのも実は妖怪の仕業だったという。そういう発想をしたらどうなるんだろうか。なるべく社会の問題を毎回毎回妖怪として出していきたいなと思ったんですよ。
(編)TV版は全部で12話ですよね。企画の段階ではどのくらいのアイディアがあったんですか?
(井口監督)ネタはいっぱいありましたね。相当切りましたよ。裁判の話とか。ネットカフェとか。快適なネットカフェに若者が住んでいて、実はそのネットカフェが妖怪で。それが動いて都市を爆走するとか(笑) あとは僕が考えたのは、ラヴホテルに巣くう妖怪がいて。カップルがセックスしようとすると、枕もとに置いてあるコンドームを食べてしまって。生でやるしかなくなってドンドン妊娠していくという(笑) “妖怪ナマズキ”というのを考えたんですけど、さすがにダメだったですね(笑) あと、最初にあった企画でドグちゃんが最初は全身土偶の鎧を着ていて。1話ごとに1パーツごと外れていく。12話で裸に近いかたちになっていくという。毎週毎週、観ている人は、次はどのパーツが外れるんだろうと。
最後に顔のパーツが外れて、あぁこの娘だったんだという(笑) 12話観ないと主演の娘が誰か分からないという。
(編)インタビューの最初に3D映画の話がでましたが、3D映画をやる予定はないんですか?
(井口監督)3D映画は本当にやりたいんですよ!やっぱり女性の体が飛び出してくるというのは”夢”じゃないですか。それはやらなくちゃいけないんじゃないかと思ってます。ドグちゃん3D版でもやりたいですけどね(笑) 僕自身3D映画は子供の頃から大好きで。『キカイダー』の3D映画を観て。『13日の金曜日3』とか、『ジョーズ』の3D版も観て。あの頃から3Dと名がつくものは、ほとんど観ているんですよ。僕の中では3D評論家のつもりでいるんですけど(笑) 最近の3Dは奥行きばっかりでツマラン!というのがあって。どうせやるんなら飛び出す『キャプテンEO』女体版とか(笑) やりたいですね。なので、今回のドグちゃん劇場版は3Dじゃないんですけど、心は”3D”でやっていたんで、かなり密着感はあると思います。気持の中では3Dだと思ってみると意外と飛び出て見えるんじゃないかと。あの、谷澤さんの胸をスクリーンでみるだけで、いいじゃないかと思いますね(笑)
(編)これからイベントがいっぱいありますが、やはり褌で出るんですか?
(井口監督)そうですね~。非常に今、心の中に葛藤がありまして。アイドルファンのみなさんは、別に俺たちの褌姿は見たくないだろうと(笑) でも、褌ででなきゃいけないだろうなと。でも、やらざるを得ないでしょうね。劇場さんが許してくれるかわからないですけど。
(編)褌でイベントにでる時は教えてください。取材に行きますので。今日はありがとうございました 
 『きょーれつ!もーれつ!!古代少女ドグちゃん まつり スペシャル・ムービー・エディション』
シネマート新宿にて公開中
出演:谷澤恵里香、窪田正孝、桐島里菜、柄本時生/斉藤由貴、上川隆也 
企画:登坂琢磨 原案・総監督・構成:井口昇
脚本:継田淳・三宅隆太 協力:豊島圭介・清水崇・加藤淳
特殊造形・キャラクターデザイン・パイロット版監督:西村喜廣
VFXスーパーバイザー:鹿角剛司 イラスト:江口寿史
テーマソング:「誰だ!」(電気グルーヴ/キューンレコード) 
配給・宣伝:日活
企画・制作:毎日放送・キングレコード
[公式サイト]
(C)古代少女製作委員会

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