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更新 2007年07月26日

『エクステ』の舞台裏を語り尽くす! 園子温監督インタビュー

昨年は『紀子の食卓』『気球クラブ、その後』『HAZARD』と公開ラッシュが続いた園監督が久々に秘宝降臨! 国民的美髪女優・栗山千明を主演に迎え、大杉漣の衝撃的怪演でも話題を呼んだ新感覚ホラー『エクステ』のDVD化に際し、園流演出の裏側や製作エピソードに迫ってみました。
園子温プロフィール
その・しおん/愛知県豊川市生まれ。『俺は園子温だ!』(85年)がぴあフィルムフェスティバル入選、『男の花道』(87年)でグランプリ受賞。物議を醸した『自殺サークル』(01年)他、『奇妙なサーカス』(05年)『紀子の食卓』(06年)は海外でも数々の賞を受賞し、国際的評価を高めている。また近年はテレ朝系金曜ナイトドラマ『時効警察 第4,6話分』『帰ってきた時効警察 第3,6話分』の脚本・監督でも話題に。


山崎のキャラクターは『悪魔のいけにえ2』のデニス・ホッパーのイメージ

 「他の映画のために取材していた女子高生の髪が、あるとき急にのびていたので、不思議に思って聞いたらエクステだった。そのとき初めてそんなものがこの世にあると知ったんです」

 ファッション・アイテムとしてのエクステに、元の髪の主の怨念が宿っていたら……。その妄想は、栗山千明という希代の美髪の持ち主を得て俄然リアルになった。そして本編以上に人々を震撼させたのが、恐怖の髪フェチ男“山崎ぐんじ”こと大杉漣が髪への異常な愛情をエンドレスにリピートする「My ヘアー」。本編では一部しか流れないが、DVDにはフルヴァージョンPVが収録されている。作詞・作曲はもちろん園監督。一度聴いたら二度と忘れられない呪いの旋律は、ある意味、一番こわい。

 60年代風のロングヘアとファッションに身を包んだ山崎のキャラクターは場違いにポップでどこか憎めない。「イメージとしては『悪魔のいけにえ2』(74)のデニス・ホッパー。ウッドストック・フェスティバルの世代でヒッピーくずれみたいな感じかな。今でもシスコに行くとああいうおっちゃんがいっぱいいるからね」

 栗山千明演じるヒロイン・優子が勤める美容室の店名は『青ひげ』のモデルになった「Gilles de Rais(ジル・ド・レ)」である。それ以外にも“阿部定町”という地名が登場したり、よく見ると看板に書いてある文字は犯罪者のオンパレードだったりするが、これも園監督の演出のひとつ。
「山崎が住んでいる廃墟のボートハウスは、実在の髪フェチ殺人鬼ルイジ・ロンギの名をとっています。また、美容室の隣にある喫茶店の店名は、「血の風呂」「鉄の処女」などの残虐行為で悪名高い吸血鬼伝説のエリザベート・バートリ。全く映らなかったけど(笑)」  

 どことなくグラン・ギニョル的でヨーロピアンな山崎家の部屋は何をモデルに? 「エド・ゲインだよね。人の皮の代わりに髪の毛でできたランプとか、髪棚というのも作ったんだけど(笑)。ジル・ド・レが子供の生首を並べてコンテストをやっていたと聞いたのでマネキンヘッドを飾ったり。ちなみに山崎家のソファは僕の私物をプレゼントしました」

 その、世にも素敵な部屋で山崎は壮絶なラストをむかえるが…… 「あれは『トッポ・ジージョ』(笑)。実写だから撮るのは相当大変だろうと思っていたら、テイク1で一発OKになったから逆に驚いた」

 そしてもう一人、影の主役といってもいいのが髪ののびる少女の死体。ほとんどセリフらしいセリフもないが、臓器摘出シーンも含め文字通り体当たりの大熱演だ。「あの役には異国の地から運ばれてきたイメージがあって、実は最後に生きている幻想のシーンもきれいに撮ったんですけどね」
残念ながらそこは本編には残っていないが、メイキングに収められている撮影風景では生きている彼女の姿が見られる。

 舞台となっている地方都市のロケが行われたのは鎌倉。園監督のねらいはアルフレッド・ヒッチコックの『鳥』(63)だった。
「最初の設定は裏原宿だったんだけど、大都市だと『鳥』みたいな変な映画は成立しない。どんな大事件が起きても外に広がらない閉鎖的な雰囲気を醸し出したかった」

 『エクステ』はまた、髪という凶器を使ったスラッシャー映画とも言える。
「Jホラーというよりは、アメリカ的なユーモアのあるホラーにしたかった。最後にハードロックがかかってもいいような」
 髪の毛の映像は、実写とCGを巧みに合成させて作られている。
「一本だったらCGでもできるけど、束の感じを出すのは意外と難しい。だから色々なバージョンをグリーンバックで撮って、それを重ねて作っていきました。天井から吊られているシーンもある程度は実写で、その部分はビジュアル系バンドのBUCK-TICKをイメージした。でも実際に一面の髪の毛を目の前にするとやっぱりすごかったね。想像以上だった。役者と違って髪の毛は演出できないから」

 その言葉通り、黒髪が画面を覆い尽くすスペクタクルは圧巻。
「でもいつか、他の色の髪でもやってみたいですね」
 近い将来、金髪バージョンや赤毛バージョンの『エクステ』が観られるかもしれない。

取材:那須千里、原口一也、ジャンクハンター吉田/文:那須千里

写真1
髪が人を襲う! 大好きな髪の毛に刺されて恍惚の表情を浮かべる山田ぐんじ。

写真2
このあと、彼女が大変なことに……! 呪いの髪死体ではない貴重な生前ショット。

写真3
問題の「BUCK-TICK」爆髪シーン。こだわりの毛束感は実写とCGのたまもの。

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特別公開! 園監督直筆の絵コンテの数々を大放出!!

『エクステ』絵コンテ素材を東映ビデオから特別入手! 園監督らしい毒がそこはかとなく漂う、味わい深い画風が何ともイイ感じかと。DVDを観て、美術スタッフさんによる渾身の再現ぶりを見比べてみると、一層楽しめること間違いなし!

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『HAZARD』園子温監督インタビュー
『エクステ』
07年日本/監:園子温/出:栗山千明、大杉漣、佐藤めぐみ、つぐみ他
本編108分/特典映像:メイキング、未公開シーン、「My ヘアー」PVほか
8月3日発売/¥4,935(税込)/発売、販売元:東映ビデオ
© 2007「エクステ」フィルムパートナーズ




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