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更新 2008年02月21日

第13回 ビックリ芸人たちの、あんまりビックリしない日常!
「JIM ROSE TWISTED TOUR THE COMPLETE SERIES」

日本では(たぶん)リリースされる予定のないアグレッシブなDVD たちを、誰も望んでないのに勝手に紹介!
Text by 灸 怜太

 サイドショウとは、かつて華やかなサーカスの隣でひっそり開かれていた、いわゆる見世物小屋のこと。本物のフリークスや、カラダを張ったワザを得意とするビックリ芸人たちが薄暗いテントの中でひしめきあう姿は庶民の好奇の目に支えられて、アメリカのウラ文化をヒッソリと形作ってきた“伝統芸能”である。

 ジム・ローズはカミソリを飲み込んだり、砕いたガラスの上に顔面を乗せて客に上から踏んでもらうという荒業を得意とするサイドショウ芸人。そんなジムの元に、同じような特殊体質の芸人たちが集まって一座を結成した。
 メンバーは、乳首に通したピアスにブロックを吊り下げる芸を得意とする「ミスター・リフト」、あらゆる関節がぐにゃぐにゃの「ラバーボーイ」、全身に針をぶっ刺したり、顔面にドル札をホチキス留めする「ジェフ」、それに一座の紅一点であり、ジム・ローズの嫁の「ビビ」。彼女はアシスタントだけでなく、剣のエッジで作ったハシゴを昇り降りしたり、サソリを口の中にいれたりする本格派の芸人でもある。
 ジム・ローズ一座はロック系イベント「ララパルーザ」の前座に出演して人気を博す。『Xファイル』にもゲスト出演して知名度も上がった。そこで、新メンバーにヘビー級ヨーヨーチャンピオン「キャピー」を加えて、全米ツアーに繰り出すことになった。

 このDVDは、ジム・ローズ一座の全米ツアーに同行したドキュメント作品。アメリカのケーブルで放送されたテレビシリーズで全7エピソード、5時間を越える大長編だ。普通、こういった見世物系の作品はそのトンデモ芸が見せ場となるのだが、これはあくまでもツアードキュメント。芸は毎回披露されるが、カメラは彼らの日常にフォーカスしていく。

 ジム・ローズの掲げる理想。いさかいの絶えないメンバー。特にドン臭いのがヨーヨーが上手いだけのデブ、キャピー。ツアーといっても、要するに営業なので、自分たちで会場設営から片付けまでしなくてはいけないのだが、キャピーはすぐにサボるし、現場にいても役に立たない。そんなメンバーを優しく受け止めそうでいて、そこまでの器量はないゴス姉ちゃんのビビ。一座は家族のような雰囲気だが、それほどの一体感はない。
 ナレーションは“ヤバい奴らのヤバいツアー!”みたいな感じで煽りまくるが、そこに映し出されるのは行く先々で普通に観光したり、たまに飲んだくれたり、地元のスターと交流したりと、ダラダラしたドサ回りの日々だったりする。

 カラダを張ってもそんなに儲かる訳でもなく、名誉が得られることもない。かといって、自らをアーティストだと鼻にかけることもなく、ハデな出来事も起こらない。それぞれがブツブツ言いながら、結局コレをやるしかないという哀愁を少しだけ漂わせて、ひたすらツアーは続いていく。製作者が何を意図してこのテレビシリーズを企画したのかはわからないが、出来上がったものは軽くもないし、深くもない、ちょっぴりイビツなホームビデオ。この振り切らない感じがジム・ローズ一座の味なのかもしれない。

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