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更新 2008年08月04日

『シティ・オブ・メン』パウロ・モレッリ監督インタビュー

ブラジル・リオデジャネイロのスラム街“ファヴェーラ”を舞台に、2歳の息子を持つアセロラと実の父を知らないラランジーニャ。大親友の2人の友情はラランジーニャの父親が現れてから崩れ始めていく…。そして、闘争に巻き込まれていく人々…。
本作では前作『シティ・オブ・ゴッド』の続編という形ではなく、別の側面、ファヴェーラに住む人々や、ファヴェーラで生まれた父親がいない子供たちが父親代わりとしてファヴェーラを仕切るギャングへの憧れから犯罪者にってしまうという深刻な問題を中心に描いている。


TVシリーズとの関係性について、モレッリ監督は、「TVシリーズと映画、全部で一つの『シティ・オブ・メン』です。TVシリーズと本作は密接な関係を持っていて、4シリーズのうち後半の2シリーズは、映画のことを考えて作っています。実際に劇中で、フラッシュバックで彼らの若い頃が出てくるのですが、それは全部今回の映画化を計画してのことだったんです。」と語った。

前作、『シティ・オブ・ゴッド』は、舞台となった実在するスラム街“ファヴェーラ”の名前がタイトルとなっているが、本作のタイトルに関しては、「言葉遊びというか、『シティ・オブ・ゴッド』と関連性を持たせるために、似たようにつけました。『シティ・オブ・ゴッド』はファヴェーラの別名でもありますが、同時に神のような力を持った人々、つまり売薬のディーラーたちを描いた作品でした。本作は彼らの影響を受けて暮らしている人々の物語ということで、“メン”とつけたんです。」

では、貧困や犯罪が多発している現状でファヴェーラに暮らす人々の笑顔を支えているものはなんだろう?「彼らが笑顔を浮かべるのは自然なことなんです。笑顔はもともと彼らの中にあるもので、彼らはハッピーピープルなんです。音楽や踊りふざけることが大好きで、太陽や生きることを愛している。とてもハッピーな人たちなんですが、同時に厳しい状況にも置かれているんです。特に警察とドラッグディーラーたちが対立している真中に彼らはいて、殺し合いが自分の身近な環境の中で起きているんです。」と語るモレッリ監督。

また、本作のリアリティーについて聞いてみた。「かなりリアルです。今回の作品は、俳優もファヴェーラに住んでいる人たちを起用しているし、物語のエピソードも実際にファヴェーラで聞いた話が元になっています。セリフの言い方に関しても俳優に任せてスラングを使ってもらったのが大きかったです。全編ファヴェーラで撮影しているのですが、すべてのことが我々が最終的に到達したかったリアリティーに寄与していると思います。」

実際のファヴェーラの状況に関してはどうだろう? 「ドラッグディーラーの姿が目立ちました。初めて現地に行った時、13才くらいの男の子がマシンガンを手にして、銃弾の入ったベルトを肩から斜めがけにしていたのがすごく印象に残っています。」と現実とは思い難い状況をモレッリ監督は語った。

最後に続編について聞いてみた。「計画はないですが、例えば10年後のファヴェーラの現実を撮ることは、そのときになったら再検討したいです。ただ、現状との変化はそこまでないと思います。問題が解決に向かって動いているとは今は思えないです。でも変化がなくても、そのときのファヴェーラを撮ればいいのかもしれないですね。」と述べた。多くの人々が衝撃を受けた作品だけに、第3章が作られることを期待したい。

パウロ・モレッリ監督
1956年ブラジル、サンパウロ生まれ。建築を学んだ後、80年代からAV関連の仕事を始める。その後、独立系プロダクション会社オリャール・エレクトロニコを設立。91年にはフェルナンド・メイレレス、アンドレア・ガラタ・ヒベイロらと共同で02フィルムズを設立、コマーシャルやTV Cultura局の“Ethics”シリーズ(95)などを監督。97年に監督した短編映画“Tombstone”はハヴァナ国際映画祭を始め、ロサンジェルスやリオデジャネイロ、サンパウロなどの映画祭で各賞を受賞。“Preco da Paz, O”(99)で初の長編映画を監督をする。本作は03年のグラマード映画祭にて審査員賞を獲得。『シティ・オブ・ゴッド TVシリーズ』(02〜05/V)プロジェクトには初監督したエピソード(TVシリーズの第2シーズン)から参加している。04年の第3シーズンでは総監督を務め、プロジェクトを締めくくった。

取材・文 新海優香
『シティ・オブ・メン』
8月9日(土) 渋谷シネ・アミューズ ほか全国順次ロードショー!
2007/ブラジル
監督:パウロ・モレッリ
出演:ダグラス・シルヴァ、ダルラン・キュンハほか
配給:アスミック・エース
公式サイト:http://cityofmen.asmik-ace.co.jp/
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